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泌尿器科

前立腺がんの最新情報:疫学・診断

伊藤 一人

医療法人社団美心会 黒沢病院 院長

​ 前立腺がんは全国がん登録では2017年~2020年は最も多い男性がんでした。また、厚生労働省の患者調査(令和5年)では、前立腺がんは50歳台前半では第6位、50歳台後半は第2位、60歳以降は第1位の患者数と報告されており、50歳以降の中高年男性は注意が必要です。また、近年の前立腺がん診断法の進歩は目を見張るものがあります。前立腺特異抗原(PSA)検査を用いた前立腺がん検診の受診により、がん死亡率低下効果が確実に期待できますが、黒沢病院ではPSA異常の方に対する先進的な前立腺がん診断が実施可能で、その特徴は以下の通りです。


①がん特異的な腫瘍マーカーであるプロステートヘルスインデックス(phi)を2022年4月より外来検査に導入
②わが国の前立腺MRI診断の第一人者である島根大学医学部放射線医学講座の楫教授が全てのMRI画像診断を担当
③前立腺生検は、群馬県で初めてMRI検査での異常部位と生検時のエコー画像を融合させ、正確にMRI画像での異常部位の組織を採取するMRI標的生検を導入
④がん組織診断は、わが国の前立腺がん病理診断の第一人者の東京慈恵会医科大学病院病理部の鷹橋教授が全て担当


 これらのことから、県内外の他の専門医療機関からも前立腺がん診断の紹介も多く、前立腺がん診療の質の向上に貢献しています。講演では、当院における前立腺がん診断の検査の手順と、①~④の当院での前立腺がん診断の特徴についてわかりやすく解説いたします。

前立腺肥大症の最新治療「アクアブレーション治療」について

大木 亮

医療法人社団美心会 黒沢病院 理事長補佐 兼 透析センター長

 前立腺肥大症の手術療法の一つとして、従来の経尿道的前立腺切除術(TURP)およびホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)などに加え、新技術としてAQUA BEAMロボットシステムによるアクアブレーション(Aquablation)治療が2023年6月に国内で承認されました。この治療の特徴は、熱源を用いずに高速の水噴射(ウォータージェット)により前立腺組織の切除を行い、大きな前立腺に対しても従来の術式と同等の治療効果が得られること、またリアルタイム超音波ガイダンスによる切除計画と切除範囲をマッピングすることにより厳密にロボット制御された前立腺切除を行うことができます。術者による治療成績の差異が少なくなり、また切除時間の短縮と技術習得のラーニングカーブの短縮が可能になります。このシステムは2025年10月時点で、日本に12台しかなく、北関東以北および群馬県では初の導入となります。
 当院では2025年2月末に導入となり、9月までに25例施行してきました。前立腺肥大症について理解を深めていただき、最新治療であるアクアブレーション治療についてもわかりやすく解説させていただきます。

泌尿器科ロボット支援手術 ~最新の泌尿器科手術治療~

古谷 洋介

医療法人社団美心会 黒沢病院 統括診療部長 兼 ロボット手術センター長

 当院では手術支援ロボット「da VinciダビンチXi」を導入し、2022年6月から泌尿器科における前立腺癌、腎癌等に対するロボット支援腹腔鏡手術を行っています。
ロボット支援手術は腹腔鏡手術をさらに発展させたもので、従来の腹腔鏡手術と同様に手術の傷が小さく、出血が少ない等、患者さんの身体に負担が少ない特徴をもちながら、手術支援ロボットを医師が操作することでさらに繊細な手術を行うことが可能です。そのため通常の腹腔鏡手術と比較しても術後合併症の軽減や手術時間の短縮などのメリットがあります。
 今回、最先端手術であるロボット支援手術について分かりやすく説明させて頂きます。今回も手術支援ロボット「ダビンチ」実機の見学・体験会やお子様向けに腹腔鏡手術体験の「お菓子つかみ取り大会」も併せて開催しますので、是非ご参加下さい。

くすりで良くならない過活動膀胱、一歩踏み出してみませんか?

~手術という方法もあります~

曲 友弘

医療法人社団美心会 黒沢病院 排尿機能部長

​ 尿漏れ(尿失禁)は、男女を問わず患者さんの数が非常に多く、QOL(quality of life:生活の質)を損なう疾患です。がんなどとは異なり生命には直接関わりませんが、重要な疾患と考えています。尿漏れは、お腹に力がかかって漏れる腹圧性尿失禁と、突然尿意を感じて漏れる切迫性尿失禁(過活動膀胱)に大きく分かれ、今までは前者のみが手術の適応でした。後者の中で、くすりで良くならない難治性過活動膀胱に対する手術も数年前から保険適応になり、当院で受けることができます。今回の講演では、特に手術療法(ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法、仙骨神経刺激療法)を中心にお話ししたいと思います。もちろん手術以外のお話も時間の許す範囲でしたいと思います。過活動膀胱は女性だけでなく男性にも見られる症状ですので、性別を問わず聴いて頂きたいと考えています。今回の講演にて、年のせいだから、生命に関わらないから、と諦めますか?一歩踏み出してみますか?を考えてみて頂きたいと思います。

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