泌尿器科
多様化する最新の前立腺がん治療:自分に合った治療を選ぶ時代へ
伊藤一人
医療法人 社団美心会 黒沢病院・院長、同 予防医学研究所・所長
早期前立腺がんの治療方法は多彩で、監視療法、手術療法、放射線療法があります。監視療法は、がんが小さくおとなしい場合に選択できる治療法で、すぐに手術や放射線治療をせずに、慎重に血液検査などで経過を見ていく方法です。手術療法は、がんが前立腺内にとどまっているときに効果高い治療法で、開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット補助下腹腔鏡手術があります。放射線治療には、体外より放射線を照射する外照射療法と、前立腺内に放射線源を埋め込む組織内照射療法があり、粒子線治療が2018年4月より保険適応になったことで治療選択肢が広がりました。講演では、各治療の良い点、副作用をわかりやすく解説いたします。
尿路結石の診断・治療・再発予防
小倉治之
医療法人 社団美心会 黒沢病院 統括診療部長
尿路結石は大昔からある病気で、多くの人々がこの病気に悩まされてきています。皆さんの身近にも、あるいはあなた自身が経験者という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
30年ほど前に体外衝撃波結石破砕装置が開発され、内視鏡や医療用レーザーなどの医療機器も進歩を遂げて尿路結石の治療方法も様々に変化しています。
また尿路結石は再発率が高い疾患であり、その予防方法についての研究も徐々に進んできています。
こちらでは尿路結石の診断、治療そして再発予防についての解説をさせていただきます。
前立腺がんの疫学・検診・診断について
大木 亮
医療法人 社団美心会 黒沢病院 理事長補佐 兼 透析センター長
前立腺がんは黒人や白人に発症頻度が多く、以前よりアメリカでは男性がんの中で第1位の罹患数となっていました。近年日本でも高齢化とPSA検診の普及、食生活の欧米化などの影響で前立腺がんの罹患数が増加しており、国立がん研究センターによる2018年のがん統計予測では、男性がんの罹患数第4位となっております。死亡数は男性がんの第6位で年間約12,400人もの方が前立腺がんで死亡しています。死亡数を減少させるために早期発見・早期治療が必要ですが、前立腺がんは症状が出にくいため、早期発見にはスクリーニング検査が重要になります。
人間ドックや住民検診で行われる「PSA検査」について理解を深めていただき、前立腺がんの診断までの流れについて解説させていただきます。
泌尿器科の薬を飲んでも治らない夜間頻尿について、またまた解説します
曲友弘
医療法人 社団美心会 黒沢病院 排尿機能部長
夜間頻尿、よく聞く言葉です。一般的には就寝後2回以上トイレに起きることと言われており、前立腺肥大症や過活動膀胱、すなわち泌尿器科の病気“だけ”が原因と思われているかも知れません。しかし、それ以外にも、高血圧、心臓病、睡眠障害、水分の摂り過ぎ・・・などなど数多くの病気、生活習慣が原因になっているのです。今回の講演では、薬以外の、内科の先生が教えてくれない対処法(生活改善)をお教えします。その後で、女性の排尿の問題をお話しさせて頂きます。特に尿失禁を取り上げ、手術療法を中心に解説させて頂きます。時間の関係で、講演でお話しできない部分はブースで解説させて頂きます。今回の講演にて、夜間頻尿は泌尿器科だけの問題ではない、さらに症状の改善には薬を飲むことだけでなく自分自身の努力も必要ということを知って頂ければと思います。
泌尿器科の腹腔鏡手術 〜体にやさしい手術治療〜
古谷洋介
医療法人 社団美心会 黒沢病院 腹腔鏡部長
検診や人間ドックで見つかる早期の前立腺癌や腎癌の方が増えてきています。
従来、腎癌や前立腺癌の手術はお腹を大きく切開する開腹手術が行われていました。近年、泌尿器科の癌の手術は腹腔鏡手術というお腹に5〜12mm程度の穴を3〜5個あけて内視鏡で観察しながら手術を行うことが主流となってきています。腹腔鏡手術は、傷が小さく、痛みが少ない、手術後の回復が早い、出血量が少ない、内視鏡による拡大視野により細かい手術操作ができるなど、開腹手術と比べて身体の負担が少ない手術です。
昨年度から当院では泌尿器科の癌に対する腹腔鏡手術を開始し、傷が小さく身体の負担が少ない手術を行っています。今回の講演では泌尿器科の腹腔鏡手術についての実際と安全性などについて分かりやすくお話をさせて頂きます。